【LWP001+002 デザインのはなし】デザインのルーツ

【LWP001+002 デザインのはなし】デザインのルーツ

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バックパックでありトートバッグの『LWP001 Ultimatelight 20L Backpack Tote(以下、LWP001)』と、ショルダーバッグでありトートバッグの『LWP002 X-Pac 30L Shoulder Tote(以下、LWP002)』は、かたちや素材は異なるものの、元は同じ発想から生まれたバッグです。

 

これら二つのバッグがつくられたプロセスを紐解くうち、私たち編集部は「LIFEWORKPRODUCTS(ライフワークプロダクツ/以下、LWP)」というブランドが生まれるきっかけに触れることにもなりました。

 

日頃手がけているプロダクトデザインとは異なるプロセスを経て作られたという制作過程やチャレンジについて、LWPデザイナー宮沢と南出のふたりから話を聞いたようすをお届けします。

 


取材・文・イラスト:阿部愛美(LWP編集部)、編集・写真:吉田恵梨子(LWP編部)
  • 宮沢哲(みやざわ・てつ)

    「LIFEWORKPRODUCTS」ディレクター。国内外のインハウスデザイナーを経て、2007年にアンドデザインを設立。2011年よりNTTドコモ プロダクトデザインディレクターを兼務。

  • 南出圭一(みなみで・けいいち)

    「LIFEWORKPRODCTS」デザイナー。国内外のインハウスデザイナーを経て、2016年にアンドデザインに参加。国内外におけるデザイン賞受賞多数。

LWP001と002のバッグについて、おふたりがそれぞれ関わられたことを教えてください。

宮沢 :

私と南出の二人でアイディアを出しつつ進めましたが、試作を作ったのは南出です。試作は、家庭用ミシンで縫ったあくまで簡易的なものでしたが実用に耐えるものだったので、実際に使用しながらお互いに意見を出し合いました。

いま目の前には完成に至るまでに南出さんが作られたものすごい数の試作があります。

南出 :

ここにあるのはほんの一部で、まだまだたくさんあるんですよ。初期段階のものは大きさやかたちもまちまちですが、デザインがある程度定まってからは、ポケットの有無やベルトの幅、縫い止める位置の変更など、細部の調整を中心に検討を重ねてきました。その作業を繰り返した分だけ試作が増えていったのですが、僕ら以外の人が見てもその差はわからないと思います(笑)。

それだけ細部まで追求してこだわったということですね。LWP001と002は、どのように発想して作っていったのですか。

南出 :

LWPのブランド立ち上げにも関わる話ですが、宮沢がとある洋服屋の購入特典としてもらったエコバッグがヒントになっています。そのエコバッグは、米デュポン社の「タイベック®」という紙のように軽くて薄い素材からできていました。僕たちはこの個性的な生地に魅了されて、タイベック製のエコバッグを作るという方向性でアイディアを詰めていったんです。結果としてエコバッグでもなければタイベックでもなくなったのですが、リュックタイプのLWP001と、ショルダータイプのLWP002を完成させました。

世界最軽量クラスのナイロン生地「KAJIF ULTIMATELIGHT®」を使用した、バックパックにもトートバッグにもなるLWP001。photo by Goichi Kondo

アウトドアでも用いられる「X-Pac®」を使用したショルダーバッグにもトートバッグにもなるLWP002。photo by Goichi Kondo

 

一つの発想を起点にしつつ、途中から役割ごとに独立させたということですね。制作のプロセスについても教えてください。

南出 :

普段のプロダクトデザインのプロセスと同じくスケッチからスタートしました。そのスケッチを型紙として落とし込み、布に写しとってパーツごとに切り出し、ミシンで試作を縫います。実際に使ってみると、背負いにくかったり、取っ手が短すぎるなどの問題点が見えてきますから、型紙を修正してまた縫って……という具合に、平面と立体の作業を何度も行き来して徐々にかたちにしていきました。

宮沢 :

私と南出はデザイナーとして同じ視点を持ちつつも、南出は縫う立場から作り手の視点を持っていましたし、私は純粋に使い手の視点から意見を言うことができました。そうしてお互いが納得できるものを見つけていくのは時間がかかることでしたが、じっくりと最高のかたちを探求したんです。

ご自分たちが納得できるまで時間をかけてものづくりに取り組んだということですね。ちなみに南出さんは、このバッグ制作のためにミシンを学ばれたとか。

南出 :

そうなんです。自分で縫ってみることで初めて理解できることも多く、大きな学びとなりました。頭の中では成立していても、ミシンの機械的な限界、素材の厚みや特徴、縫う順番などによって、想像していたように縫えない部分がたくさん出てくるんです。そうして行き詰まるたびに既製品のバッグを見て自分なりに勉強していました。


 普段のクライアントワークとは異なる新しいチャレンジだったと思いますが、いかがでしたか。

宮沢 :

私たちはプロダクトデザイナーとして、普段は文房具や家電など、物質的に硬い工業製品を扱うことが多いんです。そのプロセスはとても複雑で、多くの工程を経てやっと実用に耐える試作を手にすることができます。でもLWP001と002の試作づくりにおいては、新しいことを思いついたり修正したいと思った時に、早い場合は次の日に南出が縫いあげてくれました。思い描いたことがすぐにかたちになるという体験は、私にも南出にも新鮮で刺激的なことでしたね。非常に楽しく取り組むことができましたし、納得のいく仕上がりになったことをとても嬉しく思っています。

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