Vol.11【デザイナーインタビュー】前編:「岡本健デザイン事務所」について

Vol.11【デザイナーインタビュー】前編:「岡本健デザイン事務所」について

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「LIFEWORKPRODUCTS(ライフワークプロダクツ/以下、LWP)」のビジュアルデザインは、グラフィックデザイナーの岡本健(おかもと・けん)さん率いる「岡本健デザイン事務所」のメンバーによって支えられています。

 

ロゴマークやウェブサイト、名刺のデザインといったヴィジュアル面でのアートディレクションだけでなく、ブランドの根幹となるネーミングについても岡本さんとともに検討を重ねたことで、LWPのブランドはかたちづくられました。

 

そんなLWPの影の立役者である岡本さんにインタビューを行った様子をお届けします。まずは、「岡本健デザイン事務所」について(前編)、次にLWPのネーミングについて(中編)、それからロゴマークについて(後編)、計3本でお届けします。(前編)

取材・文・イラスト:阿部愛美(LWP編集部)、編集・写真:吉田恵梨子(LWP編集部)
  • 岡本健(おかもと・けん)さん

    グラフィックデザイナー。千葉大学文学部行動科学科にて心理学を専攻、研究の一環で調べたグラフィックデザインに興味を持ち方向転換。株式会社ヴォル、株式会社佐藤卓デザイン事務所を経て2013年に独立。「LIFEWORKPRODUCTS」のアートディレクションを担当。

「岡本健デザイン事務所」のお仕事内容について教えてください。ウェブサイトを拝見すると、ロゴマークやパッケージといったグラフィックのお仕事から、ブランディングまでさまざまです。

岡本 :

私の肩書きはグラフィックデザイナーですが、グラフィックデザインを入り口としてそこから派生するさまざまな展開を請け負っています。事務所のスタッフもグラフィックデザインを担う一方、エンジニアリングのスキルを持っていたり、イラストレーターやアーティストとして活動しているスタッフもいたりして、請け負える幅が広がってきているんです。

そうした横断的な仕事を手がけられてきた「岡本健デザイン事務所」の代表作について教えてください。

岡本 :

それぞれの案件に対して思い入れがあるので、どれかひとつが代表作だという気持ちはないんです。ただ、皆さんに広く認知していただいているものとしては、伊勢丹の包装紙『radiance』や東京大学生産技術研究所のロゴマークのほか、「単位展 ― あれくらい それくらい どれくらい?」(21_21 DESIGN SIGHT)や「窓学展」(窓研究所)の展覧会グラフィックなどでしょうか。個人のプロジェクトとしては、平仮名の言葉の重さを可視化した「ことばのおもみ」や、マネキンを使ってお化けをつくるという企画展で制作した『山一女』についても思い入れが深いです。

「岡本健デザイン事務所」のプロジェクト 

 

現在はデザイナーとしてご活躍の岡本さんですが、大学では心理学を専攻されていたということで、とても意外に思いました。

岡本 :

そうなんです。大学時代に興味を持ってデザイナーを目指してみたものの、仕事の現場では劣等感しかありませんでしたね。個性のある作家性を持ったデザイナーが活躍している中で、私はそうしたものを持っていなかったので……。転機となったのは、何度かの転職ののちに入所する「佐藤卓デザイン事務所」です。佐藤さんによる“デザインにおいて個人の作家性を持たなくても良い”という考え方にとても救われて今があります。

「岡本デザイン健事務所」のグラフィックデザイナー・岡本健さん

 

 

佐藤卓さんのお仕事から学んだことが、いきているわけですね。

岡本 :

ええ、ほんとうに。実際、作家性を持たないからこそ仕事の幅はどんどん広がっていますし、もっといえばグラフィックデザインに縛られないことによって、それぞれの依頼内容に合わせた適切な手法を選択できると実感しています。この案件はプログラミングを用いることで問題解決できるかもしれないとか、ロゴマークを敢えて写真で表現するのはどうだろうといった具合です。それは私ひとりでは実現できるものではなく、個性的なスタッフたちが可能性を広げてくれています。

ご自身の無理のないスタンスが多様な仕事につながっていているのは、とても素敵なことです。

岡本 :

そうですね。一方で、仕事を依頼してくれる人はどんな決め手で私を選んでくれるんだろう? とずっと疑問に思っていました。すると、ある人が「岡本さんは作家性がないと言うけれど、プロセスに作家性がある」と言ってくれたんです。デザインするにあたっては、検証、仮説、実験、結果、という手順を丁寧に踏むことを心がけているのですが、これは心理学で学んできたことが活かされているのかもしれません。”作家性は最後に滲み出るもの”と佐藤さんもよく話してくれていたように、自分なりのプロセスを経て最終的に自分らしさがどこかに垣間見えたら良いなとも思います。


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