Vol.12【デザイナーインタビュー】中編:ブランドのネーミング会議

Vol.12【デザイナーインタビュー】中編:ブランドのネーミング会議

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「LIFEWORKPRODUCTS(ライフワークプロダクツ/以下、LWP)」のビジュアルデザインは、グラフィックデザイナーの岡本健(おかもと・けん)さん率いる「岡本健デザイン事務所」のメンバーによって支えられています。

 

ロゴマークやウェブサイト、名刺のデザインといったヴィジュアル面でのアートディレクションだけでなく、ブランドの根幹となるネーミングについても岡本さんとともに検討を重ねたことで、LWPのブランドはかたちづくられました。

 

そんなLWPの影の立役者である岡本さんにインタビューを行った様子をお届けします。まずは、「岡本健デザイン事務所」について(前編)、次にLWPのネーミングについて(中編)、それからロゴマークについて(後編)、計3本でお届けします。(中編)

取材・文・イラスト:阿部愛美(LWP編集部)、編集・写真:吉田恵梨子(LWP編集部)
  • 岡本健(おかもと・けん)さん

    グラフィックデザイナー。千葉大学文学部行動科学科にて心理学を専攻、研究の一環で調べたグラフィックデザインに興味を持ち方向転換。株式会社ヴォル、株式会社佐藤卓デザイン事務所を経て2013年に独立。「LIFEWORKPRODUCTS」のアートディレクションを担当。

  • 宮沢哲(みやざわ・てつ)

    「LIFEWORKPRODUCTS」ディレクター。国内外のインハウスデザイナーを経て、2007年にアンドデザインを設立。2011年よりNTTドコモ プロダクトデザインディレクターを兼務。

  • 南出圭一(みなみで・けいいち)

    「LIFEWORKPRODCTS」デザイナー。国内外のインハウスデザイナーを経て、2016年にアンドデザインに参加。国内外におけるデザイン賞受賞多数。

「LIFEWORKPRODUCTS」のアートディレクションは、岡本さん率いる「岡本健デザイン事務所」が中心となって手がけられているということですが、LWPディレクターの宮沢さんは、岡本さんへどのような依頼をしたのでしょうか。

宮沢 :

具体的な何かを依頼をしたのではなく、最初期の段階で「バッグを作りたいけれどバッグブランドにするつもりはなく、わたしたちが使いたいと思うものなら何でも作ってみたい……」といったぼんやりとした構想をお話しするところからスタートしました。結果的に岡本さんは、ロゴマークやウェブサイトのデザインだけでなくネーミングにも関わっていただいたり私たちと並走してくださって、ほんとうに感謝しきれません。

「LIFEWORKPRODUCTS」ディレクターの宮沢 

 

ネーミングにも関わられたということで、どのようなプロセスで進めていかれたのか教えてください。

岡本 :

ずは私の方から、市場のブランド名を整理して表にしたものをお見せしました。アノニマス(匿名性のある)で記号的な名前から、オニマス(匿名性のない)な名前、そしてフォーマルかカジュアルかといった軸で分けてマッピングをしたんです。ファッションブランドはアノニマス寄りだし、企業や店舗はオニマスに寄る。今回は、匿名性が高いブランドがよいのではと考えてアノニマス寄りの提案をしてみました。

 具体的にはどんな名前のアイディアがあったのでしょうか。

岡本 :

例えば、読めない文字列だったり意味のない記号的なものですね。実際に提案したものの一つとして「&#33」というものがあります。これは文字を参照する記号で、10進数で「!(感嘆符)」を意味するものです。

アノニマスとオニマスのマッピング
10進法で「!」を意味する&#33

 

 

なるほどこれは読めません……! けれど結果として、真逆のオニマスな名前になったのは不思議です。

岡本 :

私たちの提案からしばらくして、宮沢さんたちから「ライフワークプロダクツ」という名前が提示されたんです。それは私たちのネーミング案にはないものでしたが、王道でまっすぐな名前を選ばれたことはとても面白いと思いました。ブランドのビジョンが定まっていなかった状態から、目指すべきものはアノニマスなものじゃないとLWPメンバーのみなさん自身で気がつかれたことこそが、提案をした意義だと思っています。

宮沢 :

どの名前もすぐに気に入ったのですが、熟考するうちに“ベタでもいいからずっと続けられるものにしたい”というブランドの方向性が固まっていったんです。せっかくご提案いただいたのに失礼かと思いましたが、「使いたいと思うものが一番いいですよ」と言っていただいてホッとしました。

岡本さんからのご提案があったからこそ、そこを起点にしてブランドの名前やビジョンについても方向性が定まっていったということですね。


(後編へ)

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