【LWP002 デザインのはなし】デザインのうらがわ

【LWP002 デザインのはなし】デザインのうらがわ

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タフに使えることから、アウトドア好きを中心に絶大な人気を博す生地「X-Pac®」を使用して作られた『LWP002 X-Pac 30L Shoulder Tote(以下、LWP002)』。丈夫で大容量なこの防水バッグは、ショルダーバッグとしてもトートバッグとしても使うことができる使い勝手のいいアイテムです。

 

このバッグをデザインしたLWPデザイナーの南出は、誰よりもこのバッグを愛用していると話します。そんな南出に、デザイナーでありいちユーザーとしてLWP002への想いを聞いたところ、LWP001と同じくベルトへの並々ならぬこだわりがあることがわかりました。

 

ぜひ、LWP002の製造に携わっていただいたフルクリップでのインタビューもあわせてご覧ください。(Vol.08へ)
取材・文・イラスト:阿部愛美(LWP編集部)、編集・写真:吉田恵梨子(LWP編集部)
  • 南出圭一(みなみで・けいいち)

    「LIFEWORKPRODCTS」デザイナー。国内外のインハウスデザイナーを経て、2016年にアンドデザインに参加。国内外におけるデザイン賞受賞多数。

     

LWP002に使用している「X-Pac®」は、アウトドアブランドの製品などで目にすることも多い人気の生地だと思いますが、X-Pacを採用するに至った決め手について教えてください。

南出 :

LWP002のかたちをブラッシュアップする過程で、シンプルな作りはそのままに、このバッグを特徴づけてくれるような個性的な生地はないか、と探すようになったんです。いろいろと検討するうち、アウトドアブランドから発売されていたX-Pacのアイテムが目にとまりました。そして、X-Pacのバッグをたくさん扱っていたフルクリップに辿り着き、素材の入手や縫製などをご担当いただくことになったんです。

フルクリップに依頼をされた時、LWP002のイメージはどのくらい固まっていたのでしょうか。

南出 :

かたちはすでに最終形に近い状態でしたが、その頃は綿の生地を使っていました。全体に統一感を出そうと思って本体生地にもベルトにも同じ綿の生地を使っていたのですが、そのせいでぼやけた印象だったんです。本体生地の素材をX-Pacにすることに決めてからは、自分で作った綿の試作をフルクリップに持っていって、製造に携わっていただいた平垣さんと相談しながら二人三脚で進めていきました。

かたちや素材がさまざまに検討された試作の山。 

 

南出さんは実際にLWP002のバッグをよく使われていると聞いています。ユーザーとして感想はいかがですか。

南出 :

ほかの誰よりも僕が使っていると自負しています(笑)。使い手として個人的に一番気に入っているところは、バッグの中が大きなひとつのスペースになっていておおらかに使えるだけでなくノートパソコンや雑誌などを倒さずに収納できる最低限の仕切りがあるところですね。

それに内ポケットは大きめで、お財布や携帯、鍵などの小物をどんどんと放り込めるところも便利です。口を折らずに伸ばせばトートバッグとして使えるのですが、長さのあるスケートボードなども入ってしまうんですよ。

ユーザーとしても満足のいく仕上がりなんですね。ちなみに、LWP001はベルトが特徴的でしたが、このLWP002も同じように肌触りの良いベルトが使われています。

南出 :

幅や厚みは異なりますが、LWP001と同じ素材です。ベルトの光沢が、本体生地「X-Pac® X21RC」のマットな表情とのコントラストを生み、全体の印象を引き締めてくれています。体に巻き付ける部分のベルトの長さは最後の最後まで悩んだところでした。800ミリだと背負った時にお尻に少しかかってしまい軽快な動きができません。700ミリだと荷物をたくさん入れた時にきつく感じるんじゃないかという懸念があったのですが、検討を重ねて700ミリに決めました。僕は自転車に乗るのですがちょうどよくフィットしますし、自転車を漕いでいてもバッグが体の前側にずれてしまうことがなくとても快適に使えています。

photo by Goichi Kondo

 

LWP001と002は、最終的なかたちや素材は違いますが、どちらも影の主役がベルトという点で共通していますね。

南出 :

今こうして話題に上がるまで、ベルトにすごくこだわったという意識はなかったですね。でも、ベルトがバッグにとってすごく大切な要素だということに途中から気がついて、気を配ってきたのは確かです。人が皮膚から得る外部情報はとても多いと思うのですが、ベルトはまさに体に触れたり手で触れる部分ですから、ちょっとした重さの違いや触り心地、手で握った時にフィットする幅など、最後まで妥協なくよりいいものを追求しました。


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